近年、すばる望遠鏡のHyper Suprime-Cam (HSC) を用いた戦略枠サーベイ観測から幅広い赤方偏移でクエーサー/AGNが続々と発見されており、その多波長フォローアップ観測も進み出しています。このクエーサーサンプルの最大の特色は、既存のサーベイ(SDSS等)では見落とされていた低光度・低質量天体を多く含む点であり、各赤方偏移における巨大ブラックホール天体の「より一般的な」描像を得るために極めて有用なデータを提供しています。そこで本ワークショップでは、Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA) を用いたミリ波サブミリ波〜遠赤外線帯における豊富な分子・原子輝線やダスト連続波等の観測に特に注目し、「低光度(= 可視光帯における選択バイアスを極力排除した)クエーサーの母銀河をALMAで観測する意義」や、関連する科学目標(高光度クエーサーの例も含む)を多角的に捉えることを目指し、2019年春に観測提案の募集が予定されるALMA-Cycle 7以降の観測に備えます。
多様なテーマの中でも特に、
- 銀河とブラックホールの共進化(いつ、どこで、どうやって?)
- クエーサーの発現環境・発現条件
- 活動銀河中心核 (AGN) フィードバックの性質
- 銀河の金属量進化と星・ブラックホール活動性との関係
といった重要項目については、現状把握のためにレビュー講演も交えつつ議論する予定です。その中では、従来使われてきた[CII]やCO輝線だけでなく、近年注目を集めている[OIII]・[NII]・[CI]等の微細構造輝線や、多様な分子輝線を用いたサイエンス案も検討されるでしょう。James Webb Space Telescope (JWST) 等の、ALMA以外の近未来の新装置を用いた研究課題も議論したいと考えています。
理論・観測、あるいは専門波長帯に関わらず多くの方にご参加頂き、活発な議論を通じて本コミュニティーが発展することを期待しております。
主なテーマ
- 銀河とブラックホールの共進化
- クエーサー母銀河の星形成活動
- クエーサー環境
- AGNフィードバック
- クエーサー吸収線
- クエーサー(とその母銀河の)化学進化
- その他、ALMAで可能なクエーサー・AGNサイエンス全般(光度・赤方偏移問わず)
招待講師(2018年9月14日ver; alphabetical order)
- 池田浩之(国立天文台)
- 井上昭雄(大阪産業大)
- 川勝望(呉高専)
- 川口俊宏(尾道市立大)
- 菊田智(総研大/国立天文台)
- 白方光(北海道大)
- 橋本拓也(大阪産業大/国立天文台)
- 藤本征史(東京大)
- 松岡良樹(愛媛大)
SOC・LOC
泉拓磨 (国立天文台; chair)、長尾透 (愛媛大)、河野孝太郎 (東京大)、鳥羽儀樹 (京都大)、山下拓時 (愛媛大)