[研究会の概要]
- 彗星や隕石の起源であるカイパーベルト天体は、太陽系内で惑星が形成された名残であると考えられており、太陽系の成り立ちを調べる上で重要なターゲットである。このため、隕石分析をはじめとし、彗星のガス成分の観測や探査機ロゼッタによる67P彗星の直接調査など様々な研究が行われてきた一方で、この塵・岩石で形成される天体群の起源として「デブリ円盤」が近年注目されはじめている。デブリ円盤は、太陽系以外の若い恒星周りで発見された、主に塵や岩石から構成される円盤で、数10-100auの半径を持つリング状構造をしたものが多く見つかっており、リング構造や既に円盤内で形成された惑星の探査などの研究がなされてきた。しかし近年、デブリ円盤にはほとんどないと考えられてきた「ガス成分」が多くのデブリ円盤で発見され、その起源が注目されている。我々は、デブリ円盤のガスの化学組成に着目し、その起源が、形成過程で残存されたものであるのか、あるいは塵からの2次的供給であるのかを探る。これらの研究は、原始惑星系円盤からデブリ円盤への進化段階の理解といった天文分野だけではなく、星間空間での化学反応の理解、惑星大気の起源の理解など、地球惑星科学の分野にも大きなインパクトを与えると期待される。
今回のワークショップは3回目ということで、デブリ円盤に特化した内容ではなく、より包括的にデブリ円盤の理解を進めていきたい。そこで、原始惑星系円盤からデブリ円盤、そして太陽系まで幅広く網羅し、それぞれの分野の研究者を招待して議論を深め、Cycle7以降を目指した共同研究の可能性を検討する。
[講演予定者](敬称略)
- 大坪貴文 (JAXA/ISAS)
國友正信 (東京大学)
小林仁美 (LLP京都虹光房)
佐川英夫 (京都産業大学)
鈴木建 (東京大学)
田崎亮 (東北大学)
仲谷崚平 (東京大学)
[世話人]:
樋口あや(理化学研究所)・小林浩(名古屋大学)・石原大助(名古屋大学)・深川美里(名古屋大学/国立天文台)