存在が確定した太陽系外惑星が千個に達しようとしています。その中には生命が存在す
るかもしれない地球型惑星も含まれていると期待されています。さらには、宇宙における
大型有機分子(アミノ酸,核酸,糖類やその前駆体を含む前生命関連物質)の形成,その
惑星への運搬が生命発生に重要な役割を果たしたとの考えが強まっています。地球上での
有機物質形成よりも宇宙からの運搬量のほうが1000倍も多いとの推定もあり、世界の多く
の天文学者が「宇宙と生命」研究に参加しつつあります。
2013年度からは自然科学研究機構新分野創成センターに「宇宙における生命」分野が発
足し、天文学、化学、地球科学、生物学などの研究者による分野間連携も強化されてきま
した。
このような背景を踏まえた宇宙における前生命関連物質の研究は、ALMAが目指すサイエ
ンス3本柱とも一致し,その初期運用時から競争力のある観測提案をすることが求められて
います。12月初頭に観測提案申し込みが締め切られるCycle 2では2つの新しい波長帯の観
測が可能になります。なかでも2mm帯は有機物からの電波強度が強いことが期待されます。
本WSでは日本が得意としてきた分野である星形成や星間化学の研究者に生命の起原研究
に携わる研究者が加わることにより、Cycle 2にむけて良い観測提案を出すことをめざしま
す。また、Cycle 2にむけた良い観測提案を出すことに留まらず、宇宙と生命の関連を多様
な角度から明らかにするための中長期視野を持ったサイエンス戦略について継続的に議論
・検討することをめざします。
旅費支援については、国立天文台チリ観測所および自然科学研究機構新分野創成センター
からの予算を充てることができました。
プログラム案を決めましたので、今回、ご案内いたします。多くの方々のご参加をお待
ちしております。当日の飛び込み参加も歓迎いたします。
世話人:齋藤正雄、西合一矢、大石雅寿(国立天文台)
日時:2013年11月23日(土・祝) 10時~17時40分
会場:国立天文台・三鷹 講義室
TV会議設備による参加も可能です(4カ所まで接続可)
ワークショッププログラム(案)
時 刻 講演者 所 属 講演タイトル
10:00 長谷川哲夫 国立天文台チリ観測所 Welcome Address (to be confirmed)
10:10 大石雅寿 国立天文台 WSの趣旨
10:20 齋藤正雄 国立天文台 Cycle 1の結果とCycle 2の概要
11:20 今井栄一 長岡技術科学大学 海底熱水噴出孔の熱水環境と化学進化の模擬実験(仮題)
11:50~13:30 昼食休憩
13:30 小林かおり 富山大学 大学院理工学研究部(理学) ALMA science verification dataを用いたギ酸メチルのOrion KLの空間分布と今後のマイクロ波分光計測の展望
14:00 尾関博之 東邦大学理学部 生体関連分子のミリ波・サブミリ波分光
14:30 高橋淳一 阪大レーザー研 アミノ酸前駆分子としてのヒダントイン類の紫外光化学
15:00 荒木光典 東京理科大学理学部第一部化学科 可視領域の実験室分子分光による地球外有機物の研究
15:30~16:00 休憩
16:00 大石雅寿 国立天文台 アミノ酸前駆体の高感度電波天文観測
16:30 野村 英子 東京工業大学 原始惑星系円盤中の複雑な有機分子生成モデル
17:00 小松勇 筑波大学 系外惑星のバイオマーカー検討に向けて:光合成の光吸収モデル
17:30 大石雅寿 国立天文台 Concluding Remarks